悪魔くんとナイショで同居しています
「ねぇ、奏。黒羽くんの話、もっと詳しく聞かせてよ」
ブレザーのポケットから、ハンカチを差し出してきた紗千の目もまた潤んでいた。
「うん…分かった。何から話せばいいのかなぁ」
「二十日さん、まず涙を拭いて拭いてっ」
「そうだよ、翼くんの話はそれからでいいから」
クラスメート達の中心に立ち、聞かれるがままにアーラのことを話した。
アーラと過ごした日々は、そんなに長くは無かったけど…。
私にとっては凄く長く感じられた。
色んなことがあったよね。
たくさん怒らせちゃったよね。
その度に殺すって言われて、怖くて怖くてたまらない時もあった。
早く魔界に帰って欲しい。
毎日のようにそう思っていたよ。
アーラと出会わなければ良かった。
何度そう思ったか分からないよ。
でもね、
今では出会えて良かったって思ってる。
アーラがいたからこそ、繋がった絆がある。
アーラがいたからこそ、気付けた想いがある。
ねぇ、私の声……届いてる?