悪魔くんとナイショで同居しています





次咲くんはほんのりと頬を赤らめた後に、ありがとうと呟いた。

照れているのか、はたまた夕日に赤く染められているせいなのかは分からないけれど。



「あ、次咲くん。これ…そういえばずっと借りてたよね」



昨夜ふと思い出して持って来たんだ。

漫画本にまみれて眠っていた、悪魔について書かれた古い本を。



「すっかり忘れてたよ。でもそれは…奏ちゃんにあげるね」

「私に?」



もう読まないし…正直に言うといらないんだけど。

突き返そうかと思ったけど、やっぱりバッグに仕舞い込んだ。



コレがあれば、アーラと過ごした日々を思い出せるから。

何年と時を経ても、忘れないでいられるような気がした。



「そうそう…。その本に書いてあったんだけどさ、魔界と人間界はいつもどこかで繋がっているんだってね」

「そうなの?」

「うん。僕達が知り得ない、遠い場所でね。だから奏ちゃんと大悪魔様は、いつも繋がっているんだよ」



そっか……。

だったら私の声も、ちゃんと届いているのかな?




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