悪魔くんとナイショで同居しています




「ニャーオ……」



ん?

どこからともなく、猫の声が聞こえる。



窓の外に顔を出してみると、屋根の上に座る一匹の猫を見つけた。



「わぁ……かわいい」

真っ黒でふわふわの毛をした猫は、なんの躊躇いもなく近寄ってきた。

軽々と窓枠へ飛び乗り、警戒することなく部屋の中に入って来た。



「君、どこのお家の子?野良にしては綺麗だから、飼い猫かな?」



近辺に野良猫は数多く住み着いているけど。

黒光りするほど綺麗な毛並みのこの猫は見慣れない顔だった。



あからさまに飼い猫だね。

間違いない。



黒猫は尾をゆらゆらさせながら、一層低い鳴き声を発した。

そしてちょこんと座ると、青く光る眼差しを向けてきた。



その姿はなんだか不気味で……

「もう駄目だよ……そろそろお家に帰りなよ」

そう、抱き上げようと手を伸ばした時だった。



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