悪魔くんとナイショで同居しています





「他の教科書も無くなっているから……多分、佐々原達かな」

「あー、そっかぁ……」



とは言っても、本人に直接どこに隠したの?

なんて聞く勇気は無いし、それはきっと次咲くんも同じだと思う。



「前にも……下履きを捨てられたことがあったんだ。その時は、焼却炉で見つかったんだけどなぁ」

「じゃあ……見に行ってみる?」



もしかしたらまた、焼却炉に捨てられたのかもしれない。

そう言うと、次咲くんは悲しげに頷いた。



授業はとっくに始まっている時間なのに、私と次咲くんは校舎裏にある焼却炉へ歩いた。



「あのさ……次咲くん」



そういえば借りていた本のことだけど、と言いかけたところで……

「あぁ、アレはまだ持っておいてよ」

次咲くんに遮られてしまった。



持っておいてよ、って。

いらないんだけどなぁ。







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