悪魔くんとナイショで同居しています
「はいー、では64ページを開いてー」
授業中でも次咲くんはイジメられていた。
「くっくっく。おい、次はコレ投げてみっか?」
「おいおい、国語辞典なんか投げたら死ぬんじゃね?」
次咲くんの足元には、消しゴムやらお菓子のゴミやらが落ちている。
次咲くんは、それらをちらりとも見ず前を向いていた。
というか、見ないようにしているんだと思う。
ここで私が、
「イジメなんてやめなさいよっ」
そう……一喝出来る強さがあれば、次咲くんを助けることが出来るのに。
「ねぇねぇ、奏。今日の放課後さぁ〜……」
「えっ?なになに?」
そんなことを思いながら、また私は見てみぬふりをしてしまっていた。
本当にダメ人間だ…私。
誰かが次咲くんを助けてあげなきゃ、彼はずっとイジメられるだろう。
とは言えやっぱり行動に移す勇気は湧いてこなくて、現状を変えることが出来ずにいた。
そんな日が続き、次咲くんはとうとう学校に来なくなってしまった。