悪魔くんとナイショで同居しています
奏のちっぽけな勇気
二十日奏。
十七歳にして初めて……異性と見つめ合っております。
憧れていた爽やか好青年ではあるけど、
「あれ?まさかもう帰りたいとか思ってる?」
正真正銘の……悪魔なんです。
帰りたい!
そりゃあ帰りたいですとも!
「いやぁ……はは。せっかく連れて来てくれたんだし……ねぇ?」
だってココ、超高層ビルの屋上だよ?
柵も何もないんだよ?
帰りたいに決まってんじゃん!
でも恐れ多くてそんなこと言えないんじゃん!
「そう?真っ青な顔してるから、帰りたいのかと思った」
「えへへ……滅相もありません」
とりあえず今は転落しないように、中央付近で体操座りをしています。
そして爽やか好青年の仮面を被った悪魔は、私の向かいでニヤニヤしています……。
「言っとくけど、お前は特別待遇だからな?契約者以外の人間に尽くすなんて、そんなことありえねぇから」
「あ、ありがとう……」
うーん。
あんまり嬉しくないかも。