悪魔くんとナイショで同居しています
「そうだ、奏ちゃん」
じゃあ、お腹すいたし紗千も待ってるし……早くメニューを決めなきゃ。
そうさり気なく去ろうとすると、次咲くんに呼び止められた。
「あんまり大悪魔様と親しくしたらいけないよ」
「えっ?」
次咲くんは声を潜めると、周りを気にしながら耳打ちしてきた。
「多分、奏ちゃんは狙われてる。大悪魔様はきっと、奏ちゃんを魔界へ誘うつもりだよ。だから彼の誘いにはノッたら駄目だよ」
「それは……分かってるよ」
その辺りのことは、次咲くんに借りた本でちらっと見たからね。
悪魔に魂を売ったらいけないって。
魔界で一生、彼らの駒として使われるんだって。
「好きだとか言われても、間に受けないようにね。翻弄されたらもう終わりだよ」
好きだ、かぁ。
そんなこと……あのアーラが言うわけないよ。
でも……
お前がいるからだって言葉。
結局どういう意味だったんだろう?