悪魔くんとナイショで同居しています




「かな……奏ちゃんは逃げて……」

「んだよお前!気持ち悪い手で触ってくんなよ!」



次咲くんは私を守ろうと、一人のヤンキーに掴みかかっていった。



「テメェ調子に乗るなや」

必死に取り押さえようとしている次咲くんの背中に、もう一人がハイキックを決め込んだ。



「あぎゃあっ!」

「次咲くん!」



次咲くんは変な声を上げながら倒れ込んだ。

慌てて駆け寄ると、ヤンキー達は盛大な笑い声を上げた。



「ぎゃっはっはっは!お前らマジで気持ち悪過ぎ!」

「あはははっ!もう行こうぜ、そろそろ飽きてきたし。タバコ買いに行こう」



うぅ……悔しい。

助けに行ったつもりなのに、結局火に油を注ぐようなことになってしまった。



「……大丈夫?」

ヤンキー達の姿が見えなくなると、次咲くんがむくりと起き上がった。



「ありがとう、奏ちゃん……」



次咲くんのブレザーは砂で真っ白だ。

それに、メガネにもヒビが入ってしまっている。



そんなボロボロな姿を見ていると、罪悪感が一層増してきた。




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