悪魔くんとナイショで同居しています
「うんうん、今回もなかなか楽しませてもらったよ」
側で静観していたアーラが、拍手をしながら歩み寄って来る。
ずっと見てたなら……少しくらい手を貸してくれたっていいのに。
どういう神経してんのよ、って突っ込みたくなったけど黙っておいた。
彼は悪魔だもん……。
とにかく人間の不幸を喜ぶ、それが彼だもんね。
「……次咲くん。ごめんね、私ぜんっぜん役に立てなかった」
アーラなんて放っておけばいいや。
今心配なのは次咲くんだ。
「そんなことないよ。本当に……そんなことない」
あぁ……前歯まで欠けちゃってるじゃん。
メガネのヒビといい、そのマヌケ面に思わず笑ってしまった。
「あははははっ!はっ……ごめん」
って、笑える状況じゃなかったね。
何発も殴られ蹴られてるんだもん。
痛いなんて一言も発さないけど、痛いに決まってるよね。
「いや、いいよ。くふふっ……ははは!」
そんな状況にも関わらず、明るい笑顔を見せてくれた彼は……
やっぱり良い奴??