向日葵の下で口付けを
「ついたよ、ここ!」

エノが連れてきてくれた場所は、街外れの森だった。

辺り一面の向日葵と、崖の向こうに広がる街並がとても美しい。

「凄いね。生まれも育ちもこの街だけど、ここは知らなかったよ。」

私がそう言うと、エノは待ってましたと言わんばかりの自慢げな顔をした。

愛おしくて、胸が締め付けられて破裂しそうだ。

「旅の途中で見つけた隠れスポットだよ。ここでキスをした恋人達は、永遠に結ばれるんだって。」

悪戯に微笑んだエノの手が、少し戸惑いながら私に近付いてくる。

私の頬を撫でる夏の風が、ひんやりと体温を冷ますかのように感じた。

「ここなら、向日葵の花が視線を遮ってくれるから。」

小さく呟いたエノの声と、瞳を閉じて真っ暗になる視界、唇に一瞬だけ軽く触れた感触。

心臓が飛んでいくみたいに跳ね上がった。

薄らと目を開けると、エノの顔は真っ赤だった。

凄く、愛おしい。

愛おしくて堪らなかった。
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