向日葵の下で口付けを
いつもと同じ朝。

目覚めた隣に君の姿は無かった。

代わりに食卓には一通の手紙。

綺麗なエノの字で、「ロルへ」と書かれていた。

私は丁寧に封を開け、一つ一つすくいあげる様に読んだ。


「ロルへ。

突然ロルの前を去ることになってしまってごめんね。

でも、二人が助かる方法はこれしかないと思う。

まず、驚かないで聞いてほしい。

私達の噂が街に広まった。

といってもまだ疑惑の段階で、恐らく午後ぐらいに警察が視察に来ると思う。

だから、その時に私さえいなければ問題がない。

ので、私はここを去る事にした。

私の日用品はもう持ち出しておいたから、あとはこの手紙を燃やせば全て無かったことになる。

どうか、上手くやってほしい。

そうして、この国でこんな関係が認められたら、海を越えてたってまたロルに会いに来るから。

だからどうか、元気で...」


手紙はここで終わっていた。

どうにも、大粒の涙が溢れて止まらい。

どの部屋を見ても、エノがいた形跡はまるで無くて、今までの日々が泡になってきえた様だった。

私は走った。

ただひたすらに街を駆け抜けて、あの向日葵畑へと。

ここに来れば、エノがいつもの様に愛しい顔で笑って待ってる気がしたから。
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