向日葵の下で口付けを
そんな考え事をしているうちに夕飯は出来上がり、食卓に並べる。

「いただきます。」

二人の声が重なり、胸の奥がじんわりと暖かくなる。

この少しの時間が、とても幸せで、私達は目を合わせて無邪気な少女の様に微笑んだ。

罪深い感情を抱いている事に気付かぬ様、盲目の恋をしたまま。

やがて幸福な時間は過ぎ、空になった食器と共に台所へと戻る。

静まり返る部屋に、二人。

さっきまでコメディ番組を見て笑っていたエノは、疲れたのかソファで眠っていた。

睡っているエノの姿を遠くから眺めると、なんだか胸がきゅう、と締め付けられる感覚がして、耐えきれずに再び食器を洗い始めた。

小さく息を漏らして一人、不安になって俯く。

自分はこんなにも弱い。

それなのに助けを求める事が出来ない。

否、助けを求める強さを持ち合わせていないのだ。

そんな私を包み込んで、「大丈夫」と微笑みかけてくれる恋人がいて良かったと強く思った。

私の、複雑に絡まりあった感情をそっと両手で掬い上げてくれたから。
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