恋愛指南は乙女ゲームで
prologue
「東城くんてさ、何か思ってたのと違うよね」

 そう言って、三か月目に彼女は去った。
 今回はよくもったほうだ。
 いつもは大体二か月ぐらい。

「お前また振られたの」

 幼馴染の今野 優斗(こんの ゆうと)が呆れたように言う。
 これも最早お約束だ。

「今回の理由は何よ? いつもの?」

「ああ」

 パックジュースを啜り上げながら、俺は憮然と頷いた。
 別れの理由はいつも同じだ。

 思ってたのと違う。

 意味がわからん。

「大体てめぇの勝手な想像を押し付けるほうが間違いだっての。思ってたのと違うって何だよ。どう思ってたんだ。そんなもん知るかよ」

「まぁな。お前の言い分も尤もだ」

 尤もだ、と言いつつも今野の目は笑っている。
 そして、おもむろに手を出した。

「スマホ」

「へ?」

「いいから」

 何のことだかわからないまま今野にスマホを渡すと、何かを検索し出す。

「おい、何やってんだ」

「お前のためになりそうなアプリを入れてやる」

 俺が慌てている間に、今野はさっさと何かをダウンロードした。
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