恋愛指南は乙女ゲームで
<A.一緒に行こうと声を掛ける
 B.黙ってついて行く
 C.他の子と行くね、と声を掛けて立ち去る>

 Bは怖い。
 こんな奴は嫌だ。

 Cもな、わざわざ言うことねぇだろ。
 てことでAだ。

<Nice answer!>

 っしゃー!!
 思わず拳を突き上げてしまった。
 やっと合格したぞ。

<『田村くん! 今から同期会だよね? 一緒に行こう?』
 私が声を掛けると、田村くんは少し間があってから、ああ、と小さく呟いた>

 何か、良い選択だったわりには反応はよろしくなくないか?
 それとも田村は単に照れているだけなのか?

 いや絵なんだから、照れたらあからさまに顔色が変わるだろ。
 まぁいい。

<同期会は久しぶりに会う子たちと盛り上がり、楽しい時間を過ごした。皆良い感じに酔いが回ってきたとき、隣に座っていたA子が私にこそりと耳打ちしてきた。
『ねぇ、田村くん、移動の話とか出てない?』
『え?』
『ほら、彼、海外志向じゃない。結構出来るって評判いいしさ、近々海外支社へ栄転するって話聞いたよ』>

 おっと、そういやそんなことあったな。
 やるじゃん、田村。
 男はそうでないとね。

<そんな……。やっと少し近づけたと思ったのに、こんなの酷いよ>

 いや待て。
 政子はそりゃ田村が好きなんだろうけどな、酷くはないだろ。
 大体お前ら、まだ付き合ってもねーし。
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