恋愛指南は乙女ゲームで
「まぁ一般的ではないかもな。モテる要素を、これでもか、と入れたキャラだぜ。所詮は二次元のお話よ。こんな奴、現実にいるわけないだろ」

「それを俺に勧めるな」

「お勉強材料としては、わかりやすいかな、と。自分の選択を採点されるわけだし」

「採点されても、どこが良いんだか悪いんだかわからんから改善されん」

「悪かったってわかっただけでもいいじゃん」

「そもそもなぁ……」

 俺はため息をつきつつ、やる気なく画面をタップする。
 政子がチャラ男に話し掛けられておたおたしているんだが、読む気もせん。

「俺、こんなウザい奴は嫌いだな」

 とん、と画面を叩く。
 そうなのだ。
 男はいろんなキャラがいるが、女は基本一人だ。

 プレイヤーは一人なのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。
 とにかくこの中の『俺』、つまり政子がウザい。

「一般的な女の考え方がこうなんじゃ、俺は女嫌いになりそうだ」

「おいおい。良薬は毒にもなるっていう、あれか」

 上手いことを言ったつもりだろうが、ちょっと違うと思う。
 そもそもこんなもん、『良薬』じゃねーし。

「男はともかく、女は一般的な考えを反映してるもんじゃないのか? だとしたら一般的な女=ウザい、となるぞ」

「……お前、あまりでかい声でそういうこと言うな。女子らにボコられるぜ」

 今野が慌てたように、回りを見回す。

「基本的な『女』というものを反映した結果だろ。男キャラがいろいろいるように、女だって現実にはいろいろいるさ」

「なるほど。確かに田村くんの思考も、俺には理解できなかった」

「つまり、お前は女をゲットできる部類の脳みそがないというわけだ」

 あ、と俺は阿呆面で今野を見た。
 なるほど、そういうことか。
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