恋愛指南は乙女ゲームで
「落ち着け。俺も真理が見えた。お前はやっぱり、こういうもので勉強するべきだ。男とか女とかよりも、むしろ神の視点でゲームを進めろ」

「意味がわからん」

「つまりだな、お前は神なんだ。まぁ進めないことには話にならないから、話自体は女目線になるが。冷静に、二人を幸せにするのはどういう選択をすればいいか、で進めて行くんだ。あ、言いながらまた真理が見えた。俺って天才。わかったか? つまり自分がどう思うか、よりも、どうすれば二人を幸せにできるかを優先するんだ。そうすることによって、世間一般にどういう選択をすれば人は幸せになれるかってのが理解できるってこと! 素晴らしい!」

「神というより、研修中のキューピッドのようだな」

「何でもいいさ。何となくわかっただろ? お前は自分の考えが世間といかにずれてるかってのを前のゲームで思い知ったわけだ。じゃあどうすればいいかってのを、こっちでお勉強するんだよ」

 一理ある、と思ってしまう自分が恐ろしい。
 だが若干十八年の人生経験しかないガキは、こうも立て板に水に語られると、なるほどその通り、と思ってしまうものだ。

 確かに人の心理を少しでも理解できるようになるほうが、カラカラの種を潤す近道かもしれない。
 恋愛どうこう以前の問題だな。
 まずは下地を作らねば。

 かくして俺は、恋愛スキルアップよりも、より基本的な方向へのシフトチェンジを行うこととなったのだ。
 ……乙女ゲームで。



*****おしまい*****
< 27 / 28 >

この作品をシェア

pagetop