恋愛指南は乙女ゲームで
 けど誰か選ばないと進まんのだろう。
 この中の誰かと恋愛しないと俺の女子力も上がらんわけだしな。

 とりあえずピアスとだらしのないネクタイ野郎はナシ。
 俺様もねーな。

 となると、無愛想くんしか残らねぇ。
 いいか、こいつ見た目は一番まともだもんな。

<田村 暁くんだね! 彼はあなたと同期で、早くも頭角を現している若手ホープだよ!>

 たむら あかつき……。
 苗字に対して、この名前の違和感は何だ。

 まぁいい、頼むぞ、田村くん。
 決定。

<『あっ……。今日からここに入る……え? 田村くん?』
 隣の部屋から出て来たのは、同期の田村くんだった。
 向こうも驚いた顔をして、私を見つめている>

<あなたの名前を決めてね!>

 え~……?
 そうか、そうだな。
 俺の名前もいるわな。

 つか、やっぱり女の名前だよな。

<自動で決める>

<北条 政子>

 ウケる。
 しかもちょっと本名ちっくだし。

<『北条? 何でここに?』
『あ、私今日からここに入ったの。田村くん、お隣さんだね。よろしく』
 私は笑って挨拶したが、田村くんは、ああ、と答えただけで、さっさとドアを閉めてしまった>

 いや、つか手伝えよ!
 こっちゃ荷物運んでんだよ!
 お前、男だろうが!

 人選ミスったかな。
 チャラ男だったら手伝ってくれただろうな。
 後がウザそうだけど。
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