ガラクタ♂♀狂想曲
「デンちゃん」
そっとドアに手を掛け、ドキドキと高鳴る胸へ手を当てながらそれを押した。すると湿気を帯びた空気が一気に充満し、目に飛び込んできたのは顔面にシャワーを当て瞳を閉じているデンちゃん。
なんだかぎゅうって胸が締め付けられる気がした。
「デンちゃん!」
一歩踏み出し、デンちゃんへ手を伸ばす。
「———どあ!ど、え、な? てか、どーしたショコちゃん!!」
慌てふためいたデンちゃんの声。
「あわわ、ほら!!濡れるショコちゃん!!?」
服を着たままデンちゃんの元へ足を踏み出してしまった間抜けな私は、シャワーを身体へもろに浴びてしまう。
「あー、あー。ほんとびちょびちょだし」
そして慌ててコルクを捻り、シャワーを止め私の顔を覗き込んできた。
「ショコちゃん?」
「……一緒に入る」
すると一瞬、黙り込んだデンちゃん。
「大丈夫なのに」
消え入りそうなほど小さい声でボソリと言って、無様に濡れてしまった私を抱き寄せた。
「———あのさショコちゃん」
そこでふたたび黙り込んでしまうデンちゃん。そして私の少し濡れてしまった髪へ指を絡め、それを梳かすかのように後ろへ流しつけた。
「デンちゃん、私——」
この沈黙に耐え切れず、思わず口を開く。口を開いたはいいけれど、その先に続ける言葉が見つからない。
するとふっと目を細め、私の頬を撫でてくるデンちゃん。