ガラクタ♂♀狂想曲
「似てるっていうのは顔とかそういうのじゃなくて、キャバ嬢、嫌いでしょ俺。でもショコちゃんには声をかけた。だから似てる」
なにそれ。だけど、いまみたいに、私が怒ろうが何言おうが、思ってることすべてをきちんとデンちゃんが話せていたら、瑠美やお父さんのことなども、もう少し上手くいってたのかもしれないと少し思えた。
「キャバ嬢なんて、世の中に何人いると思ってるのよ。一括りに嫌いと片づけちゃってただけじゃん。瑠美を最初嫌いと思っていたのと、私の場合は違うよ」
「そうかな」
ああ、だけど、私。なんかこれってデンちゃんに私のことが特別だと、無理矢理言わせたいだけなような気がしてきた。それこそ、デンちゃんの勝手なのに。
だって私が電話しなかったら、通行人Aにもならなかったはずじゃない。
なんか落ち込む。言ってみればただの嫉妬なのに、私だけイライラしちゃって。しかも卑屈だし。
「————ごめんデンちゃん」
「なんでショコちゃんが?」
「なんかわからないけど、そういう気持ちで反省中だから、そっとしてて」
「ヘンなショコちゃん」
デンちゃんはひょこっと肩を上げ、呑気に鼻歌を歌いだした。聞き覚えのあるメロディー。