ガラクタ♂♀狂想曲

「どーした?」

「迷惑メール」

「そっか」


そして乾杯を済ませ、ビールに口をつけたデンちゃんは口の中が痛いと言った。こんな時間からビールを手にしてしまう私たち。

だけど私の心臓は忙しなく動く。いまきたメールには、さっき見たのとはまた別の写真が添付されていた。ふたたび着信を伝えるべく携帯が鳴りはじめる。


「ねえデンちゃん」

「んー?」

「電話出るね」

「どうぞー」


そしてデンちゃんは煙草に火をつけた。
私はバスルームのほうへ向かう。


「もしもし」


気持ち少し、声を落とした。
リビングのほうからテレビの音が聞こえ、バラエティー番組なのかデンちゃんの笑い声が聞こえてくる。安堵の息もついでにこっそり吐き出した。


『——あ、祥子?いま確かに受け取った』

「そんな電話、もういいから。そんなことより、さっきのメールだけど」

『あと20万』

「———は、はああ?」


素っ頓狂な声でそれに応えてしまった私は、慌てて口を抑え込む。


『なんとかなるだろ』

「なるわけないでしょ?」

『じゃあ、ばら撒いてもいいんだ?』

「いい加減に——」


あ。
いま影が揺れた。
心臓がびくんと飛び跳ねる。

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