ガラクタ♂♀狂想曲
「今日はゴホゴホ、休ませてもらった」
「そっか。なんかごめんね」
「あー、ケホ。ショコちゃん、いきなり愁って言うからムセる」
"だけど愁の携帯へ勝手に出たらダメでしょ? 貴女って相当オツムの軽い、お馬鹿な子ね"
嫌なものを思い出してしまった。
だけど瑠美が源氏名を知っているってことは、ホストのデンちゃんを知っているということだ。店に行ったことがあるとか。実はデンちゃんの太客だったり。
「愁って名前は自分で選んだの?」
「そう」
「なにか意味あるの?」
「んー、まあ少し」
少し言葉を濁したようにも見えるデンちゃんは、煙を一気に吐き出した。そして腰を上げ、冷蔵庫の中を物色してビールを2本持ち出す。
「乾杯しよ」
「ほんとデンちゃんって、お酒好きだよね」
「そ? だけどショコちゃんも好きでしょ?」
「そりゃ、まあ」
そしてプシュッと蓋を開けたデンちゃんと、お互いの缶をカチンとあわせた。
「愁って言う字の意味だけど、酒を飲むといろんなことを忘れるって言う意味の言葉から一字いただいただけ」
「へえ、そうなの?」
「その言葉、ショコちゃん知ってる?」
「知らない」
「愁いを掃う玉帚。聞いたことない?」
そんな言葉、はじめて聞いた私は頭にハテナが飛ぶ。