ガラクタ♂♀狂想曲

「私が当てたら、教えてくれる?」

「だけど聞いたらショコちゃん、きっと信じないと思う」


そういって私を見たデンちゃんは、なんだか少し寂しい目をしたように思えた。


「——そんなことないよ」

「あるよ。笑うかも」

「えー…」


どんどんわからなくなって、ますます私は頭を抱えてしまう。


「ヒントは?」

「ヒント?」


今度はデンちゃんが頭を抱えた。煙草をもみ消したあとすぐ新しいのを取り出し、うーーんと唸りながら、新しい煙草でテーブルをトントン叩く。


「護衛、かな」

「ごえいって、守るの護衛?」

「そー、みんなを守る」

「——警察…? 当たったでしょ?」


するとデンちゃんは手の平を天井へ向け、それをくいくいっと上げる。私の出した答えが間違っていたのかと思ったけれど、そうではないらしい。


「警視庁? 警察庁とか…」


ふっと笑ったデンちゃん。
だけど私は笑えるどころか、思わず溜息。一般的なサラリーマン家庭で育ってきた私には未知の世界だ。


「だから隠してたんだ?」


「隠してた? それは違うと思う。だってショコちゃんがいまみたいに聞いてきたら、俺も答えてたと思うし。たぶん」


そして腰を上げたデンちゃんは新しいビール取って来るといい、冷蔵庫へ足を向ける。開いた缶をペキッと潰した私は、キッチンへ向かうデンちゃんの背中を見つめた。あんなにかわいい顔しているのに、だけどちゃんと男性の背中。

ふたたび溜息が出てしまった。


「はーい。冷え冷えビールおまたへー」

「ありがと」


今日はいつものデンちゃんよりよく喋ると思っていたけれど、まさかこんな話にまで発展するとは。

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