ガラクタ♂♀狂想曲
「もお、デンちゃん! ふざけてないで続き話してよ〜〜」
「んー、瑠美が来たのは小6か中1のとき」
なんでもないことのように、サラッとそう言う。確かデンちゃんが瑠美を好きになったのが4年前と言っていた。
出て行った母親を恨めず、かと言っていまの私と同い年ぐらいだった瑠美を責めることもできず。
そして世間から見ればお堅く出来過ぎた父親、か…。
「俺はずっと、瑠美のこと無視してたから」
「……そうなんだ」
それからもデンちゃんの話は続く。中学2年生の秋、上京が決まった父親と、そのままそこに残ってお婆ちゃんの家で暮らすことになったデンちゃん。そして東京へ一緒に行くといった瑠美。それを止めるために、家庭教師は瑠美じゃないとイヤだと父親に直訴したデンちゃん。
だけどそれはいつか戻ってくるかもしれない母親のためだったのか、瑠美のためだったのか、いまは正直わからないと言った。
「昔の話は、もうこれでおしまい」
なんだかこうやって話を聞けば、これまで不思議だったことが、どんどん一本の線で繋がっていくような気がした。
「それとこれから俺が話すことは、いつかショコちゃんに全部話すといったことなんだけど」
「うん」
なんだろう。
「瑠美は、いま妊娠してる」
「——え」
「親父の子で、俺の弟か妹」
「——妊娠…」
まさか、そんな。だけど男と女なのだもの。
たとえ成り行きだとしても、快楽だけを求めたものであったとしても…、セックス自体は、生殖行為に違いないわけで。だからこれは不思議ではないこと、なのだけれど——