ガラクタ♂♀狂想曲
「わたしが、なにか面白いことでも言いましたか?」
「いえ。あの失礼ですが、ええっとオーナーは、お幾つですか?」
「——わたしですか? 26です」
26!?
「ではまだ、充分お若いじゃないですか」
「ああ、なるほど。そうですよね」
だけど26歳って。若く見えるのではなく本当に若かった。私と2歳しか違わない。
「オーナー自ら、よくこうやって視察へ行くのですか?」
「年齢のせいにはしたくないのですが、やはりこの年では甘く見られますし、まだまだ勉強不足ですから当然です」
なんだか、ずいぶん違う世界を生きる人。私が人並み外れているせいなのか、余計にそう思えた。
「ああ、それとお店へ着いたら"オーナー"って呼ぶのはやめてください、念のため」
「どうお呼びしたら」
「桐生でお願いします」
桐生さんか。
「わかりました」
「——あ、ほら見えてきました。あそこです」
オーナーが指差したほうへ顔を向けた。クリスマスが近いのもあり、あちこちキラキラと素敵に装飾されており、とてもお洒落な店構え。
「もしお気に召されたら、次回は彼氏さんとご一緒に是非」
「——そうですね」
デンちゃんは彼氏ではない。だけど説明できる関係でもない私は入り口に目を移す。すると見慣れた人影が飛び込んできた。一緒にいるのは、まさか…。
「どうされましたか?」
あれは瑠美?
あれが瑠美?