ガラクタ♂♀狂想曲
お風呂から上がったデンちゃんは、課題が終わっていないとのことで机に向かう。
相変わらず集中力が凄く、それは例えテレビがついていようとも変わらず、途切れることはなかった。
キーボードをカタカタならしペンを滑らせる眼鏡姿のデンちゃんは、普通の大学生にしか見えない。
「——あー、なんかショコちゃん切れてきた」
「まだ終わりそうにない?」
「うーん、あとちょっと。うるさい?」
「大丈夫だよ。頑張ってね」
ペンを持つ手を休め、眼鏡を外したデンちゃん。
ベッドサイドに腰を掛け、私の頭を撫で、それからおでこにキスをした。
「おやすみショコちゃん」
「おやすみ」
だけど、なかなか寝付けず。
ときおりデンちゃんの様子を確認しつつ、どこか落ち着かないまま朝を迎える。
バイトのシフトは6時半からラストまで入れてもらうつもりだったけれど、初日の約束は6時。けれど確認しておきたいことがあった私は、大急ぎでバイト先へ向かった。それなら最初に提示された4時でも構わなかったのではないかという思いも頭に過りはしたけれど。
早速入り口のドアを開ければ、いらっしゃいませと出迎えられる。
「いえ、違うんです」
「——あ、ごめんなさい。新しいバイトの方ですね」
「はい、すみません…」
少し小さくなりつつ挙動不審状態でキョロキョロと店内を見回す。
「あの、オーナーは? もうこちらにいらっしゃいますか?」
「はい中に」
オーナー自らがホールへ出るようなことはなさそうな雰囲気。そういう細かいことも、私はまだ何も聞かされていなかった。
ありがとうございますと頭を下げ、スタッフルームに足を向ける。昨日面接した部屋のドアを2度ノックをし、中からの返事を待つ。
「……」
だけど返事がない。もう一度ノックしようと、手を上げたとき——