ガラクタ♂♀狂想曲
正直モノ
ウソ、ほんと。
うそ、ホント、うそ、ホント。
やっぱりあれは、私がカラかわれていただけなのかだろうか。だけど全てが嘘だったようには思えない。顔を知っている程度だといっていた瑠美のことも、本当は詳しそうだった。
嘘が苦手といっていたのに、その手の平でコロコロ転がされているような気分になる。
けれど、あれからオーナーがあちこち忙しく動き回っていたのもあり、挨拶以外で話しはしていなかった。
「ショコちゃんってば」
「んー」
「んー、じゃなくてコレ」
ゴロンと床に寝そべりデンちゃんが広げているのは通販のカタログだ。あるものをつんつん指差す。
「買おうコレ」
“マシュマロ感触”という文字が目に入った。そこに写っている、ふわふわのソファーがほしいそうだ。
「えー…、」
「ふわふわ」
「ふわふわはいいけどさー…、こんなの置いたら部屋が狭くなっちゃう」
「けど気持ちよさそう、ほら見て安いし」
「そんなに気に入ったなら、うちに置くんじゃなくてデンちゃんの家に置けばいいじゃん。デンちゃんが買うんだし」
「えー…、それじゃあ意味ないし」
「———じゃあ、瑠美んちとか」
「ぶさいく」
「……」
「いまのショコちゃん、すっっごい、ぶさぶさな顔してる」
「うー…。知らない、もお」
この2日、いろんなことがあり過ぎて正直言ってソファーがどうこうなんて、なんかいまはどうでもいい。
言い合いする気もないし、ソファーのことを考える気にもならない。というか、眠い。