ガラクタ♂♀狂想曲
もっと、
もっと、
もっと、もっと、もっと。
溺れている、いま私。
自覚があるだけ、まだマシなのかな。
ついさっきまで、心身ともにあんなに疲れいると思っていたのに、どこからこんな淫らな力が湧いてくるのか。はじめは手繰り寄せるような惰性ではじまった快感は、もうすでに全身でデンちゃんを求めていた。
「で、デン」
もうこれ以上、上り詰めることができないと思ったころ一気にそれはくる。
「——っ」
私が絶頂を迎えたあとすぐ、短い喘ぎとともにデンちゃんも果てた。ぐでんっと脱力したデンちゃんの身体が私へ覆いかぶさる。
まだ息が上がった状態で、ソフトに口づける私たち。
するとふたたび襲ってくる睡魔。このまま寝てしまう前に、ちゃんとシャワーを浴びておきたいのに。
「——やべ。ひっついた」
私がそのまま少しまどろんでいると、ティッシュを数枚手に取ったデンちゃんが隣でなにやら格闘中。どうやら引っ付いて取れないようだ。南無。
「だけどいつ見に行こうかな、ショコちゃんの萌え姿」
「私のところへ来るときは、瑠美と一緒はイヤだからね」
あ、私いま。
「なんでそこで瑠美?」
「——なんとなく」
突っ込まれて少し焦ったけれどデンちゃんに目をやれば、まだティッシュと格闘中。
「うあー、無理。取れないし」
そしてそれからデンちゃんは誰と一緒に行こうか、むしろひとりで行こうかと頭を抱えていたので、ほっと胸を撫で下ろした。
「ねえデンちゃん。ひとりでカフェとか、恥ずかしくないの?」
「ぜーんぜん。だってショコちゃんいるんだし?」
そして私の手を取ったデンちゃん。
「これ、シャワーじゃないと取れない」
悲惨な状態になった自分のものを指差しそう言った。その姿と言い方が無性に可愛く見えて、思わず笑ってしまう。
どれも、大したことない問題なのかもしれない。ふわふわのソファーを置くのもいいかもしれない。
そんなことを考えながら目を閉じた。