ガラクタ♂♀狂想曲
そして深く煙草を吸い込み、目を細めたオーナー。
「意味が、わかりません」
「ああ、ごめん。ほんと驚かせちゃって」
「——私を騙したんですか?」
きっとデンちゃんのことも。
「ここにあいつらがいることを津川さんに言ったところで、きっと同じ状態にはならなかっただろうから、少々手荒な真似をしたことは認める。それは謝るよ。だけど、これは津川さんのためでもあるから。いまは理解できないだろうけれど」
それからふたたび煙草を口へはさむオーナー。フィルターが一気に短くなってしまうほど勢いよく吸い込み、少し間を持たせてから吐き出した。
「ところで津川さん。ここから愁の家が目と鼻の先、ってのは?」
「……」
「知ってる?」
私はデンちゃんの家に、まだ行ったことがない。だけどそれはいままで、べつにその必要がないとおもっていたからで。
「——知らなかったです」
「だろうね」
どういう意味だろう。オーナーはいったい、なにを知ってるの?
「いま瑠美は、そこで暮らしているよ」
「——え」
そんなまさか。
デンちゃんの家に、瑠美が?
「———そんなの、嘘」
「なにを証拠に、嘘だと?」
オーナーはふわっと煙を吐き出し、少し斜めに構えて私を見る。
「からかわないでください」
「——なんならいまから一緒に、確かめに行ってあげてもいいけど?」
「……」
すると頼んでいたものが、コーヒーと一緒にテーブルへ運ばれてきた。そのまま黙り込んでしまう。