ガラクタ♂♀狂想曲
「オーナーは、瑠美が好きなのですか?」
「まさか」
「だったら、どうして」
ますますオーナーがここまでする理由がわからない。
「どうしてこんなこと——」
「静かに」
そして唇へ人差し指を当てたオーナーは、声を落としゆっくり口を開く。
「——愁と…、隼人と知り合ったのが、瑠美経由なだけ。ショコちゃんはただ、俺の話に併せて」
私のことをショコちゃんと呼んだオーナーは、何食わぬ顔で煙草へ手を伸ばし、どこか楽しそうに目を細めながらすうっと吸い込み優雅に煙を吐き出した。呆気にとられた私は、ただその姿を無理矢理に目へ映しこみ、ごくりと唾を飲み込む。
するとオーナーの視線が少し上がった。
「——ショコちゃん」
デンちゃんの声が頭上から振ってくる。
顔を上げれば、デンちゃんがもうそこにいた。
「なにお前、突然」
「コーキさん」
「津川さん、すぐ済みますので少々、」
「コーキさん!」
「なんだよ」
「どこから手を回したのですか? これって、わざとでしょ」
「なにが?」
「とぼけないでください」
「……あのさお前、なに言ってんの?」
私はそんな2人のやり取りを交互に目をやり息をひそめた。
「津川さん。お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません」
「コーキさん!」
「なんなんだ、お前は。お連れ様が見えないのか?」
そして私はデンちゃんに目をやった。
するとさっきと同じく、さらっと視線をそらせてしまうデンちゃん。