ガラクタ♂♀狂想曲

「お願いします、コーキさん」

「いいから座れよ」

「お願いします」

「座れないのなら、帰れ」

「コーキさん!」


イラついたように、少し声を荒げたデンちゃん。


「お前さ、少し頭冷やせよ。いまそんな台詞を言える立場なのか、ちょっとは頭回して考えろ。そこに座れないのなら、さっさと帰れ」

「——だけど、どうしてコーキさんとショコちゃんが」

「じゃあ座れよ、早く。お前だけじゃなく、俺たちだって驚いてるんだから」


私に同意を求めてくるオーナー。
私は話を合わせてはいるけれど、頷くだけでも精一杯だった。だけど——、


「デンちゃん」


私の腕を掴んでいるデンちゃんの手へ、重ねるように手を添えた。そして顔を上げる。

するとオーナーのほうへ顔を向けていたデンちゃんが、ゆっくりと私のほうへ向いた。


「あのね、デンちゃん。確か少し前に話したことあるでしょ? こちらはバイト先のオーナー」

「——?」


言葉にならない驚きの表情を見せたデンちゃんは、瞬きを忘れてしまったのではないかと思えるほど、目を丸くする。

オーナーは、どうもと言わんばかりにデンちゃんへ向かって少し頭を下げた。


「マジかよ」


一度息を吐き出し、頭の中を整理する。
ここまではオーナーの筋書き通りなのだろうか。

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