ガラクタ♂♀狂想曲
「あ、ショコちゃん? その灰皿、もうちょいこっち移動させてもいい?」
「どうぞ」
「ビールに煙草、それと隣にショコちゃん。くつろぎ満載って感じ」
そして煙草にカチリと火をつけるデンちゃん。
やっぱりあの日うちに忘れていった煙草の話をしないので、なんだかそれが私たちの関係を物語っているかのように思う。
「あ、そうそう。瑠美が今度はアシカを見たいって言うんだけど」
「……アシカ?」
「そ、アシカ」
なぜ突然アシカ。
瑠美ちゃん謎多すぎ。
「この辺でショーとかさ、やってるところショコちゃん知ってる?」
「知らないよ、そんなの」
「ええええ。ショコちゃん、もしかしてアシカ嫌い?」
嫌いじゃないけど、好きでもない。アシカとアザラシの見分けもできないし。なので質問には応えず、冷え冷えの缶ビールへ口を付けた。デンちゃんが来る前から飲んでいた私。
「だけどどうしてまた、アシカなわけ?」
だってどうやったら、そこに繋がるの。そんなのデートをしたいと考えないと、たどり着かない思考じゃない?
それじゃあ瑠美ちゃんは、やっぱりデンちゃんが好きなのかな。
「知らないけど、アシカが大好きなんだって」
「ふーん」
「毎日アシカショー見てもいいぐらいとか」
「へ、へえええ」
そうなんだ。てか、驚きなんですけれど。
だってそこまでアシカが大好きだなんて、そんな女がこの世にいるわけないじゃない。
これは瑠美ちゃんの、作戦なのかしら。