ガラクタ♂♀狂想曲
「はい。それは当然のことだと思います」
するとモニターから目を離し、ちらりと私のほうへ視線を上げたオーナー。そのまま頬杖をつき、私をじっと見てきた。少し体が傾いたせいで椅子が鳴る。
「——私の顔に何かついていますか?」
「なにがです?」
へ。
「いえ」
いったい、なに。
ここへ呼び出したのはオーナーなのに、まさかいまのが話だったのだろうか。
「実はあれ、見合いの相手なんです」
「——あのォ」
「どうされました?」
「オーナーの間合いって、なんだかタイミング取りにくくて、妙に息が詰まるときがあります」
「そうですか?」
そしてなにごともなかったかのように、またカチカチとキーボードを叩く音が続く。力が抜け、息を吐き出した。
「今日ですね」
そこでエンターキーでも押したのか、カチッと力強い音をたて顔を上げるオーナー。
「あまり気が乗らないのでは?」
「いえ? そんなことはないですよ。イヤならデンちゃんにも、そう伝えていたと思います」
「場所はうちでよかったですか?」
今日の集まり場所はオーナーの家。デンちゃんからそれを聞いたときは、ちょっと驚いた。