ガラクタ♂♀狂想曲
ようやく待ち望んでいた上がり時間になる。今日はカップルも多かったけれど、団体が入ったおかげで瞬く間に時間が過ぎた。
そして私が更衣室へ入るころオーナーが店に戻ってくる。スタッフに囲まれながらちらりと私へ視線を向けたオーナーは、特に表情を変えず。
挨拶を済ませたあと、私服に着替え鏡を見ながら髪を梳かしつけていると携帯が短く鳴った。確認すればデンちゃんから。なんだか嫌な予感。
まさかとは思うけれど、無理になったとかなんてこと——
「あ」
どうやらデンちゃんは、もう外で待っているようだ。早速発信。
『もしもしもし』
数回コールも鳴らないうちに、ご機嫌な感じで電話へ出たデンちゃん。
「私だけど、すぐ外?」
『いまセブンで立ち読み中』
「おっけー、わかった。もうちょっとしたら私は出られるけど、オーナーはどうかな」
『さっきコーキさんに会った。出るとき電話くれるらしい』
「そうなんだ」
『飲み物は適当にあるらしいから、今からなんかおつまみとか買うけど、ショコちゃん何がいい?』
「んー、任せる」
『だけどここのセブン、かなり怠慢』
「なんで?」
『ノーマルなエビせん、品切れだって。にんにく味はあるのに』
「あはは。すぐ行くね」