ガラクタ♂♀狂想曲
「あ、電話だ」
「……」
「コーキさんから」
だけどこういうモヤモヤは、いつまで続くのだろう。無事産まれたら、なくなるのだろうか。
「あ、いまコンビニです」
いまいくら考えたとしても、そのときが来なければわからない。考え出すとモヤモヤ止まらない思考は胸の奥へぐいぐい押し込んだ。
「行こショコちゃん」
私の手を取ったデンちゃんと一緒にコンビニを出た。そしてデンちゃんが指差したほうに目を向ければ、以前オーナーがタクシーを待たせた場所でハザードをチカチカさせる車が目に入る。
「いつ見ても、ほんとイカつい車だ」
そう言われれば、確かに。車のことは詳しく知らないけれど、デンちゃんがそう言ってはじめて気づいた。近くまで歩み寄っても、スモークが貼ってあるせいで車の中まで見えない。
「ショコちゃん。前どうぞ」
「ええ? いいよ後ろで」
「なんで」
「——なんでって、後ろがいいから」
「だけどこういう場合って、普通はショコちゃんが、」
すると短くクラクションが鳴った。
「早くしろー」
すっと下がった窓からオーナーの声。
「デンちゃんが前に乗って」
ぐいぐいデンちゃんを押す。
そして乗り込んだ車。バックミラーで、ちらりとオーナーと目が合った。
「コーキさん、これ知ってます?」
さっきの毒々しい色をしたグミを取り出すデンちゃん。
「お前、鼻声じゃん」
「そうです?」
「大丈夫なのか?」
「気にしないでください。それよりちょっとこれ見てくださいよ」
「うっわ、なんだそれ気持ちワル」
「全部人間の形してるんすよ」
「……スライムみたいな色してるし」
普通の会話過ぎて、いつも私が見るオーナーじゃない。このギャップに、少し戸惑ってしまう。