ガラクタ♂♀狂想曲
「へえ。リュウキがそんなこと?」
「そうなんですよ。ほんと参っちゃうでしょ? 大体そんなの俺に聞かれてもって話」
「まーな」
きっとお酒でも入れば少しぐらい会話に入ることもできたのだろうけれど、2人は私の知らない人の話で盛り上がっていた。
「だけどリュウキがそうしたいなら、お前もそれに合わせてやればいいのに」
「えー…」
「イヤなわけ?」
「イヤって言うか、コーキさんがいれば収まりがつくから、戻ってくださいよ」
「やだね」
いつもはカリスマ的な匂いがするオーナーも、デンちゃんの前では普通の人に見えた。
「——リュウキってのは、さっき電話掛かってきた奴のこと」
「そうなんだ」
ときどきデンちゃんが、こんな感じで私へ説明を挟んでくれる。
そんな2人の会話に耳を傾けていると、20分ほどすれば駐車場らしきところへ車が入っていった。
「さ、降りて」
地下に駐車場がある、高級そうなマンション。どこかの高級ホテルのようにも見える、細やかな配慮がなされた上品な内装。
「——すご」
なにこれ、凄すぎ。思わず感嘆の声を上げてしまった。
「あ、30階押して」
エレベーターも明るく、それに華やかなフロア。しかも中まで広い。部屋の鍵はボタンだ。
「どうしたのショコちゃん」
ただならぬ雰囲気に呑まれ、黙り込んだ私の顔を覗きこむデンちゃん。
「——あ、圧倒」
だってまんまホテルみたいだ。
そしてドアを開けたオーナーが私たちを中へ促す。