ガラクタ♂♀狂想曲
「ほらショコちゃん」
「——あ、うん」
絶対いま私、田舎っぺみたいな顔している。外が寒かったというのもあるせいで、頭がのぼせてるみたいな感覚にボーっと熱い。
「おじゃましまーす」
だけどデンちゃんは、いたって普通。まさかとは思うけれど、デンちゃんもこういう世界の人間なのだろうか。
「お邪魔します」
オーナへ向かって頭を下げた。次元が違いすぎる。デンちゃんに続いて靴を脱ぎ、中へ入った私。
部屋の中にはそこそこ生活臭があって、ほんの少し胸を撫で下ろした。
「お前、なに飲む?」
「んー、なにしよ。けど普通のがいいです」
「——普通ってどれだよ」
そういいながら、テーブルの上へボトルを何本か並べていくオーナー。ホームバーでも開くつもりなのか、品揃えはかなり豊富だ。
「あ、それがいい」
「どれ」
「ターキー」
茶色い液体を選んだデンちゃん。
「津川さんは?」
「———私は、ビールで」
濃いお酒は、いま頭がのぼせているから危険過ぎる。それでなくても得意なほうではない。
「2人とも、そこ座ってて」
「あ、俺なんか手伝いましょうか?」
「いいよ。お前が手を出すと時間食うし」
「なんですかそれ」
なんだか落ち着かない状態のまま、促されるように椅子へ腰掛けた私。あらためて部屋を見渡せば、グランドピアノまでもある。
そうこうしているうちに目の前のテーブルへコトンと置かれたのは、キンキンに冷えたグラスの中で黄金に輝いた液体だ。きめ細やかに泡立つビール。