ガラクタ♂♀狂想曲

「マイサーバーあるんですか?」

「ありますよ。ビールは生がうまいでしょ?」

「どんだけすごいんですか、ほんと」


2人はそんな私を尻目にビールをチェイサーにしながら、濃い酒へ口をつけていく。見ているだけで酔いそうだ。

しばらくすればオーナーが服を着替えてくると席を立ったので、デンちゃんへ声を掛けた。


「飲みすぎたらダメだよ」


クラッシック系のゆっくりした音楽が流れる部屋。
この場において、最もKY的な発言だと思う。だけど、そう言わずにいられない早さでデンちゃんが持つグラスの氷が何度も鳴っていた。


「なんかピッチ早いし」

「そうかな。久しぶりに飲みたくて」


私なんてここにいるだけでも身体を壊してしまいそうだ。


「——ほら隼人。エビせん」

「お、おお!!?」

「食っていいぞ」

「マジッすか。いま買いに行ってたんですか?」

「な、わけないし」


戻ってきたオーナーは着ていたスーツを脱ぎ、ラフなシャツに下はスエット姿と驚きの格好だ。しかも頭にはヘアバンドをつけ、おでこ全開で登場。


「ぷ、あははは」


だってエビせん、ここに登場。

オーナが気を遣ってくれたのかどうなのか、そこまではわからなかったけれど、私の気持ちも一気にほぐれた。いままでは家で飲んでるって感じじゃなかった。


「それよりコーキさん。どうしてショコちゃんを採用したんですか」

「そりゃ気に入ったから」

「ええ!!?」

「ね、ショコちゃん?」

「あああ。コーキさんはショコちゃんって呼んだらダメです」

「細かいことうるさいよ、お前」

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