ガラクタ♂♀狂想曲
そして電車から降りれば、私の肩を抱いたデンちゃんが頭突きをしてくる。
「イタ、なに?」
「ちょっと勃ったから、なんか歩きにくい」
「…ばか」
「——しかし寒いねえ」
鼻声のデンちゃんは呑気にそう言って、白い息をはあっと吐き出した。そのままマンションに着くまで、身を寄せ合うように歩いて帰ってきた私たち。
帰ってきても寒い寒いと震えているデンちゃんのためにお風呂を沸かす。
そして"絶対エッチしないから一緒にお風呂に入ろう"というデンちゃんに、結局折れた私。
「うあー、生き返る」
「ねえデンちゃん?」
「ちょ、ほら!ぶわーーーって鳥肌。見てショコちゃん、ほらこれ」
確かに寒いときお風呂へ浸かれば全身の毛穴が沸き立つのか鳥肌が立つ。私を背中から抱きしめるいつもの形で、デンちゃんが目の前に腕を突き出してきた。
「触ってみて。ほら、ブツブツ出てる」
「瑠美は、大丈夫だったの?」
「行ったら寝てた。でもダウン出してたら、起きたけど」
そう言って後ろから私の肩へ顎を乗せたデンちゃん。
「あのさデンちゃん、瑠美の」
「ショコちゃん」
すると話の腰を折ったデンちゃんは、私の首にぐるりと腕を巻きつけてくる。
「腕マフラー完成」
「ふざけないで、ちゃんと聞いて」
「おっぱい触らせてくれたら聞く」
「———もういい。話すのやめる」
「パンケーキ作ってたら急に吐き気がして、ボールをひっくり返したとかで。カーペット汚れたとかだった」
「は?」
「だから、」
「まさか私、そんな馬鹿みたいな用件でオーナーと2人っきりにされたの?」
「ごめん」
「ひど…」