ガラクタ♂♀狂想曲
「デンちゃん熱ある?」
おでこへ手を当ててみたけれど、自分の手も温もっていてよくわからない。
「大丈夫」
「大丈夫って、なにが大丈夫なの。頭がクラクラするって、本当は大丈夫じゃないでしょ?」
「俺の頭はいつもこんなもの。いつも頭クラクラしてるから」
「デンちゃん?」
「なんか俺の頭って雑音凄くて――、終わってる。またかって思う」
「——ちょっと?」
「だからもしショコちゃんが、コーキさんのところに行きたくなったら言って」
「ちょ、なに言って——、デンちゃん?」
「イヤなことはなるべく避けてるつもりなのに、どんどん俺のとこに集まるのって慣れてるから」
「しっかりしてよ」
なんだかボーっとした虚ろな目。私を見ているようで、どこか遠い。
「だけどショコちゃんと出逢って、もしかしたら変われるかもと思って、こんなのは初めてで、だけど変わんなくて」
「——わかったから」
そして幾分のぼせてしまった身体を湯船から引き上げた私。
「ほら上がるよ」
脱衣所に置いてあるバスタオルを急いで手に取り、それをデンちゃんの頭に被せた。寒そうに小さく震えている体。
「はやくデンちゃん」
「ショコちゃん、ごめん」
「もうわかったから」
すごく泣けてきた。
子どものように愚図っているデンちゃんの腕を掴み湯船から引きずり出す。