ガラクタ♂♀狂想曲
おたずねモノ
"俺は瑠美のためなら、ぶん殴られても、投げ飛ばされても我慢してその身を守りたいと思う"
"だけどショコちゃんは、俺が立ち向かってボロボロになるまで戦って守ってあげたい"
寝ていると平和な顔してるのに。
だけどいつも、平和な顔してるかな。
小難しいことをたくさん抱えこんで、それでこんなふうになっちゃったの? デンちゃん。
"このままでは、自分の子でもない瑠美のお腹の子の父親になりかねません"
確かにオーナーが言ったように、このままズルズル行くと瑠美のお腹の子のパパになってしまいそうな気がする。
だけどデンちゃんがそう決めたなら、私がそれを阻止できるとは思えない。もし阻止することが出来たとしても、そこまで人の人生に責任なんて持てないよ。自分のことだけでも精一杯なのに。
「——ン」
小さい呻きに眉を寄せたデンちゃんは、また穏やかな寝息を立てはじめた。まだ目は覚めていないようだ。
おそらくデンちゃんがこんなふうになったのは瑠美、と言うよりは、もしかすると、お父さん。
境遇が似ていて、まるで幼いころの自分を見ているようだと言っていたオーナーだけれど、どこに共通点があるのだろう。
ふたたび小さい唸り声。
時計に目をやった。私も少し寝たので、もうすぐ夕方だ。
「……起きた?」
そしてデンちゃんの額へ手を当ててみる。
「少し下がったかな」
「——ショコちゃん、俺」
「気分はどう?」
「…ん。悪くない」
はじめてこんなふうに崩れてしまったとき、無条件で自分の傍にいてほしいと言ったデンちゃん。