ガラクタ♂♀狂想曲
「私そんなふうに思ってないよ?」
「———だけどショコちゃん。いま俺は自分が情けなくて、わがままで、子どもで、かなり自分に嫌気が差してる」
「デンちゃん」
「それにショコちゃんが…、」
そしてそこで言葉を止めたデンちゃんはふたたび私を見つめ、何も言わずただ私の頭を撫でた。
「ショコちゃんが、なんか眩しい」
どこか眩しそうにそう言って目を細め、口を横に結んだ。
「デンちゃん」
知り合ったときから、私はデンちゃんに期待などしていなかった。だけど自暴自棄に走ってしまいそうになる私を、デンちゃんの自覚がなくても何度も引き止めてくれている。
「私は失望なんてしない。ただこれからのデンちゃんの未来に、ちょっと期待してみただけだよ」
「ショコちゃん…」
するとデンちゃんの頬を、静かに涙が伝う。
「——やだ、デンちゃん」
水道が出しっぱなしだから。だからデンちゃんの涙の栓が、緩んでしまった。
「ほら、これで涙も止まる」
「俺、情けねえ」
「そんなことないから」
「——だけどショコちゃんは、やっぱり俺を見放したほうがいい」
「どうしてそんなこというの?」
「だって俺、逃げ場がほしかっただけなんだ」
「……デンちゃん」
「ただそう思ってただけで、はじめてショコちゃんを見たとき、同じ匂いを感じただけで、俺——」
「泣かないでよぉ、デンちゃ」
やっぱり人は寂しい生き物だ。平等に与えられた死という別れを誰もがどこかで分かっているはずなのに…、なのに、こうやってもがき続ける。