ガラクタ♂♀狂想曲
「いま考えてる」
するとデンちゃんはそう言って、私を抱く腕にギュッと力を込めてきた。
私はそれに応えるように私もデンちゃんの腰へ手を回すけれど酷く落ち着かない。
「——熱、あるでしょ」
だってデンちゃんが普通。普通でヘン。
「ショコちゃんが言ってくれた言葉。あれはだけは俺、どっちも一生忘れない自信がある」
ほらやっぱり。デンちゃんおかしい。いつもと違う。
「デンちゃん」
「ん」
「——バイバイ、するの?」
「違う」
「じゃあ、」
「また会うつもりなら…。たぶん俺、こんなことは言わないよ」
「それじゃあ」
「俺、ここを出て行くことにした」
「——デンちゃん」
「それが一番の答えなんだと、いま気づいた」
そしてデンちゃんは私のおでこへ、そっと口付ける。
「——イヤ」
「だけど忘れない」
「そんなのイヤ」
私の頬に伝った涙を拭うように、そっと両手で包み込んだデンちゃん。
「ずるいよデンちゃん」
「だけどいま決めた」
私の目を見つめ、真剣な表情。嘘じゃない。現実なんだ。