ガラクタ♂♀狂想曲
「ねえ何歳?」
「……」
「いまなにしてるの? フリーター?」
「愁ちゃん、早く答えてやれよ」
ニヤニヤと僕を見る。こういう表情を八木さんがするとき何かを期待している。こそっと息を吐き出した。
「——JKは、お寝んねの時間だろ。俺に気安い態度で馴れ馴れしく喋りかけんな」
「ひどーォ」
「あはは。ちょっとしか変わらんくせに。まあ愁ちゃんは、人見知りだからねえ」
そんな八木さんの言葉を受け入れつつ窓の外へ目をやった。すでに懐かしくも思えるここ。
こんなところで何をしているのだ。僕は一体、何をしに帰国したのだ。母へ手渡したいものがあるだなんてのも口実なのではないのか。
未練がましいとすら思える。
だけど、彼女が笑っている姿を見れたのはよかった。