ガラクタ♂♀狂想曲
side 祥子
▽
▽
▽
デンちゃんが本当に私の前から忽然と姿を消してしまってから、どれくらい経ったのだろう。
「———ねえ、この服でいいかな。お義母さまってどういう服がお好みなのかしら」
偶然なんて早々そこらじゅうにゴロゴロないと思っていたけれど、それもそのはず。私には何も言ってくれなかったけれど、大学やホストも辞めて海外へ音楽留学したデンちゃん。
「似合ってると思うよ」
「んー、だけどさあ。そういうわけにもいかないでしょ」
「俺が買ったのは? あれ似合っていたし、俺はあれが一番いいと思う」
「———だけどあれはあなたの趣味でしょ。私はああいう服って、なんだかあまり好きじゃないの」
「どれも一緒」
「そんなこと言わないでさ。ほらちゃんと考えて。お義父さんと趣味が一緒なんだったら、あっちの服も考えてみるから」
「だけど自分好きな服を着るのが一番輝くから、そんなのは気にしなくていい」
「えー…」
そんなこと言われても困る。
「じゃあさ、こっちは?」
「さっき同じこと言った」
なによもう。人が真剣に悩んでいるのに。