ガラクタ♂♀狂想曲

side 祥子

















デンちゃんが本当に私の前から忽然と姿を消してしまってから、どれくらい経ったのだろう。


「———ねえ、この服でいいかな。お義母さまってどういう服がお好みなのかしら」


偶然なんて早々そこらじゅうにゴロゴロないと思っていたけれど、それもそのはず。私には何も言ってくれなかったけれど、大学やホストも辞めて海外へ音楽留学したデンちゃん。


「似合ってると思うよ」

「んー、だけどさあ。そういうわけにもいかないでしょ」

「俺が買ったのは? あれ似合っていたし、俺はあれが一番いいと思う」

「———だけどあれはあなたの趣味でしょ。私はああいう服って、なんだかあまり好きじゃないの」

「どれも一緒」

「そんなこと言わないでさ。ほらちゃんと考えて。お義父さんと趣味が一緒なんだったら、あっちの服も考えてみるから」

「だけど自分好きな服を着るのが一番輝くから、そんなのは気にしなくていい」

「えー…」


そんなこと言われても困る。


「じゃあさ、こっちは?」

「さっき同じこと言った」


なによもう。人が真剣に悩んでいるのに。

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