ガラクタ♂♀狂想曲
だけど胸が痛くて。こんなのはじめてで。
自信がなかった。自分に。ただそれだけ。
だって応えてあげられるものが、どこを探しても、なにひとつなかったんだ。ほんと情けない。泣かせたくないと思っていたのに、それすら応えであげることができなくて。
最後はうんと泣かせてしまった。
「——はあ…」
溜息も出るって話でさ。
「会いたいな」
けど、いまさら。どんなツラさげて。
「デンちゃんピンチ」
ひとりごともピンチな感じ。
ひとまず面接は、自分が導かれたほうへ行った。そしたら面接に、八木さんがいた。だから僕は——。
あ、着信だ。
「もしもし」
『愁、おまえ採用』
携帯を受けた途端、八木さんの弾んだ声がした。こんな僕を採用してくれるそうだ。
「ありがとうございます」
『他人行儀だな』
「そうですか?」
『ま、独立してはじめての面接だったから、俺も驚いて対応に困ったけどな。面白かった』
「そうですか」
『俺の明暗がかかってるんだから、頼んだぞ』
なんのことだろう? まあ、いいか。
「任せてください」
こんなチャンスがゴロゴロそこらじゅうに転がっているわけがない。ひそかにガッツポーズ。
「僕、がんばります…っ!」