ガラクタ♂♀狂想曲
「ねえねえほら、みてみて。リリちゃん掴まり立ちしてる。かわいー」
「ほんとだあ」
「僕の妹」
「かわいいね」
「瑠美の子もきっとかわいい。なんせ僕の妹だから」
「あははは。無事に生まれてくれたらそれだけでいいよ。ところで隼人くんは、彼女に会いにいかないの?」
「……」
聞こえないふり。
「リリちゃーん。はやく僕のこと、お兄ちゃんと呼んでね〜」
写真にキスをする。
かわいい僕の妹に。
「会いにいかないの?」
なんだよ、もう。ひとがせっかくスルーしたのに。
「……………いく」
「そっか。連絡取ってたんだね」
「——ひとの傷口をぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり……」
「ごめん。だってわたしなにも知らなくて」
瑠美と光輝さんは僕が発ったあとから連絡を取り合うことが減り、いまは疎遠になっているそうだ。
僕が光輝さんと連絡を取ったのは、いつのことだったかな。
新しい携帯の番号は誰にも教えていなかったはずなのに、どうしても聞きたいことがあって親父へ連絡を入れたことで番号がバレてしまった間抜けな僕。
だけど連絡は一度切り。あれは日本を経って四か月を過ぎたころだったと思う。
光輝さんはショコちゃんのことになにも触れなかったし、僕もなにも聞かなかった。
『後悔していないか』
挨拶もそこそこ、それだけ。
それに対し、後悔はしていないと応えた僕。