ガラクタ♂♀狂想曲
「私が思うにだけど? それってデンちゃんは、ただルミちゃんの暇つぶしにされているんじゃない?」
「そんな子じゃない」
そしてふんっと鼻を鳴らせ、不機嫌に少し眉を寄せる。
「そうかな? じゃあ同郷で、ただ懐かしいだけとか」
じろりと私を睨みつけるデンちゃん。
だけど私は構わず、茶化すように続けた。
「"あそこの角を曲がった先の田んぼの稲は、そろそろ頭が垂れるころなのかしら。うふふ"って」
「黙れよ」
デンちゃんは低く唸るようにそう言って、イラついたように頭をガシガシとかく。そしてその不貞腐れた顔のまま、みるみるシュンと落ち込んでいった。
わかりやすいほどに頭を項垂れ、肩を落とし、それから背中が丸くなる。
「わかったよ」
だけど他に女はたくさんいるだろうに、なぜそこまでルミちゃんに拘るのか私には全然わからない。
彼氏がいない子に、想いを寄せるのなら理解できるけれど。
「俺は、あいつが好きなんだ」
デンちゃんはそうぼそりとそう呟き、がさごぞ取り出した新しい煙草に火をつけた。