ガラクタ♂♀狂想曲
だけど携帯が鳴ることはなくて。もしかして携帯が故障しているんじゃないかと思って、自分で掛けてみたりしたよ。なつかしいなあ…。
でも、その日は突然やってきた。
もう鳴ることはないんだろうなあ、なんて思っていたころ。
真昼間から、ひどく酔いつぶれていて、なにをいってるのかわからないショコちゃん。いまから飲みに行ってあげるから、とかなんとかいっていた。昼間なのに。
なんとかいまいる場所を伝えてもらい、ダッシュで向かった僕。
そしたらショコちゃんたら、ひとりでぐでんぐでん。そんで僕の顔を見るなり「そんな顔だったかな?」とかいうし。立ち上がらせようとしたら鞄は落とすし、中身はバラバラ落ちるし。家まで送るといったら泣き出すし。
なんとなく事情を把握した僕は、ぐでんぐでんでヨロヨロしたショコちゃんを抱え込み、頑張って送り届けたわけだけど。そこにいたのは、はじめてショコちゃんを見かけた日、一緒にいた男だった。
思いっきり殴ったよね。
ショコちゃん押しのけて突入して。
「——ふ」
そういえば、あれだけ全力でひとを殴ったことはないな。あのひと、二回も僕のパンチ経験してるからね。
二回目は必死だったな。とにかく必死で探しまわった。携帯の写真フォルダにいまもちゃんと残してあるよ。おちんちんにリボン結ぶの本人にやらせたからね。かなり間抜けな写真。あ、映像もあるんだった。
あー思い出したら、ほんと笑える。
男と、それから一緒にいた女も。裸同然な姿で追い出したあと、ショコちゃんはまだ酒が抜けた状態ではなくて。
ぽかんとした表情で肩を落とし、だけど顔は上げていて。視線はどこを見るでもなく一点から動かなかった。
不意にショコちゃんが口を開いたんだ。