ガラクタ♂♀狂想曲
「——隼人お前、なんかそれストーカーみたいだな」
「やめてください違いますよ。だってこれは一方的に俺が好きな——…、ショコちゃん?」
デンちゃんの首に腕を絡めつけた。なにがなんだかワケがわからない。
頭の中がパニック状態だ。
「さて。それじゃあ、あとは若いおふたりでどうぞ。俺は先に帰るし」
席を立つ気配がした。
「き、桐生さん。あの私…っっ」
「なに?」
ちょこんと肩を上げた桐生さんは、私の言葉を待ちながら目を丸くする。
「——え、ええっと」
この状況で、そんな普通に聞かれても。言葉に詰まってしまう。
「ごゆっくりどうぞ。なんか2人とも天然のほほんキャラで見てて癒されるけど、今日はもう帰るから」
「……」
天然、のほほん。
「じゃあまた。あ、伝票はここに置いていくけど」
そして桐生さんは、本当にそのまま出口のほうまで歩いてい行ってしまった。
「ショコちゃん」
「…バカ、嫌い」
しかもたったいま、私の一番嫌いな天然キャラに分類されてしまった。そんなはずないし。
「泣かないで」
「泣かせないでよお…」
「——ごめんショコちゃん。もう俺、これから絶対に泣かせないから」
「バカ」
「だけど好き?」
「……」
「これからの俺に期待して」
「——デンちゃ、」
これからの。
結局どんなデンちゃんでも、ずっと好きだった。だからきっと本当はこういうの、心の中でずっと期待してた。
「もおおおお! 大好きデンちゃん…っっ!」