ガラクタ♂♀狂想曲

「ねえショコちゃん?」

「…んー」

「エビせん好き?」

「あんまり…、ていうか普通?」


エビせんがないと、生きていけないほどでもない。とか、真面目に応えるべき? などと思いデンちゃんを見上げれば大袈裟な顔で驚いていた。


「それって人生損してる。はい、お買い上げー」


私のマンションから5分と離れていない距離にあるコンビニの明るい光の中で、普通に生息しているデンちゃんを見て、なんだか他人行儀な気分になってしまう。でもよく考えれば他人だし、深い関係ではないから当然。ただエッチをするだけ。


「飲み物はビールだけ?」


そして私を見るデンちゃん。


「——好きなの買えば?」


払うのはデンちゃんなんだし。


「そんじゃあ、これ」


そしてデンちゃんが手に取ったのは日本酒。私は、もうそんなに飲むつもりもないので適当に頷いた。だけどカゴから溢れそうなほどのスナック菓子と、アルコール類に目眩みしそう。

そんな私にお構いなしの終始ご機嫌なデンちゃんは、見慣れたアルバイトにレジ前で気前よく万札を取り出した。


「デンちゃん。私も半分出すよ」

「なんで?」

「——なんでって」


そしてお釣りを受け取ったデンちゃんは、大きい袋ふたつをひょいっと持ち上げる。

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